Emu(lator) + (Ar)duino
Arduinoエミュレータ
DTP (Desk Top Prototyping)環境の構築をめざして!!!
PPT (Pre prototyping tool)としてご利用ください。
本プログラムについて
本プログラムは,PC上でArduinoをエミュレートすることを目的に開発しました。
本格的にエミュレータを作るのであれば、atmelのAVRマイコンのCPUシミュレータを開発し、それに入出力部を拡張するなどの高度な実装が必要となります。 しかし、本プログラムでは、お手軽にProcessingを使ってArduino風に動いているように見せているだけです。 もともと,ArduinoのIDEは,Processingをベースにして開発されており,両者のプログラミングスタイルは非常によく似ています。
Processing は,setup()で初期化を行い,その後,draw()で描画を繰り返します。
Arduino は,setup()で初期化を行い,その後,loop()で制御を繰り返します。
Processing | <==> | Arduino |
---|---|---|
void setup() { … ; // 初期化 } void draw() { … ; // 描画の繰り返し } |
void setup() { … ; // 初期化 } void loop() { … ; // 制御の繰り返し } |
そこで,Emuduinoは,Processing内にloop()メソッドを作成し,それをdraw()内から呼び出しています。これがEmuduinoの実体です。
Emuduino |
---|
void setup() { … ; // 初期化 } void loop() { … ; // 制御 } void draw() { loop(); // 描画と制御の繰り返し } |
そして,このloop()メソッドの中で,以下のようなjavaアプリケーションで作成したGUIパーツを,Processing 上に作成した入出力関数を通じてコントロールし,Arduino風の実行環境を実現しています。
もちろん、ProcessingとArduinoは、根本的に異なるシステムなので、割り込みやタイマー動作などのハードに依存した機能までは真似出来ませんが、簡単な入出力やループ動作などの検証には使えると思います。
学校などで、組み込みの基礎を教える場合、ハードウェアとして人数分の教材を確保するのは困難ですが、Emuduino なら、PCだけで実習を行うことが可能です。
使用可能なGUIパーツ群
- スイッチ
- スピーカー
- LED 赤,橙,黄,緑,シアン,青,マゼンタ,ピンク,白の9色
- アナログスライダー(0 - 1023)入出力
- アナログデータ再生ユニット
- シリアルコンソール
- 7セグLED
- ニキシー管
- 液晶表示装置 8文字x 2行, 16文字x 2行, 16文字x 8行, 20文字x 4行
- 2種類のカラーLED
- Led Matrix
- Led Cube
詳細については、リファレンスをごらんください。
開発の流れ
Emuduinoを使った開発の流れは、以下のようになります。
1. 開発環境を整え、emuduinoのライブラリをインストールする。
2. EmuduinoDesignerを用いて、必要なGUIパーツを選択し、その配置やパラメータを設定を行い、ベースとなるProcessingのソースコードを生成する。
3. 2.で生成したソースコードをProcessingに移し、必要なプログラミングを行う。
4. Processingで機能の実装が終わったら、ソースコードから必要部分をArduinoの統合開発環境にコピーしコンパイル後、実機Arduinoに転送して実行する。
ダウンロード
以下のリンク先から最新パッケージをダウンロードしてください。
使い方
準備
- Emuduinoの実行には,Processingが必要です。
Processingのサイトから,最新版の実行環境を入手してください。
入手した圧縮ファイルを展開するだけで,実行環境の準備は終了です。
インストール
Windows環境
-
先ほどダウンロードした「実行用ライブラリとサンプルプログラム」の圧縮ファイル Emuduino20??????.zip をハードディスクの適切な領域に展開してください。
-
展開するとemuduinoというディレクトリが生成されます。
このemuduinoディレクトリを processing.exe のあるディレクトリの下のmodes\java\libraries\に全てコピーしてください。
例 D:\processing-2.2.1-windows32\processing-2.2.1\modes\java\libraries\
modes/java/libraries/
|-- dxf
|-- emuduino <--- これを追加コピーする。
| |-- examples
| | |-- ActivityLimitation
| | |-- Blink
| | |-- Button
| | |-- Button2LED
| | |-- ButtonStateChange
| | |-- DataRepTest
| | |-- DroidTestAnalog
| | |-- DukeTestAnalog
| | |-- HeartBeat
| | |-- KnightRider
| | |-- LcdTest
| | |-- LedMatrix
| | |-- LedCube
| | |-- ReadAnalogVoltage
| | |-- SerialTest
| | |-- Slider2Buzzer
| | |-- toneKeyboard
| | |-- toneMelody
| | `-- TwentyFour
| `-- library/
| |-- data
| | |-- heartbeat1k.csv
| | `-- sin_cos.cs
| |-- emuduino.jar
| |-- export.txt
| `-- template
| |-- AnalogReadFunction.tmpl
| |-- AnalogWriteFunction.tmpl
| |-- DigitalReadFunction.tmpl
| |-- DigitalWriteFunction.tmpl
| |-- Disp7SEG.tmpl
| |-- Header.tmpl
| |-- initComponents.tmpl
| |-- PinAllocation.tmpl
| |-- SerialFunction.tmpl
| |-- SetUp.tmpl
| |-- SpeakerFunction.tmpl
| `-- Variables.tmpl
|-- javascript
|-- minim
|-- net
|-- pdf
|-- serial
`-- video
Mac環境
MacへのEmuduinoライブラリの登録方法は,Processingのsketchフォルダ内のlibrariesにzipファイルを展開したものをコピーするだけです。
/Users/??????/Documents/Processing/libraries/Emuduino
?????? は,ご使用中のユーザー名に置き換えてください。
動作報告
- 船田戦闘機 様
ver. 0.94をダウンロードし、MacOSX上のProcessing2.0b8で動作を確認 - @aohsato 様
MountainLion(10.8.2)+Processing(2.0b7)での動作を確認
Processingのver1.5では起動出来ず。
サンプルの実行
- さきほど準備した実行環境の中にある processing.exe を実行してください。
- メニューの中のFile - Examples… Ctrl+Shift+Oをクリックしてください。
別ウィンドウでサンプルの一覧が表示されます。 - このに表示されるtreeの中のLibraries以下にあるemuduinoの中にサンプルが収録されています。
それぞれのタイトルをクリックするとサンプルソースが開きます。
Libraries |-- emuduino
- 使用したいサンプルを開くと、新しいIDEが起動します。
- このIDEのメニューの中のSketch - Run Ctrl+R で実行します。
- サンプルの終了は,Emuduinoのタイトルが表示されているウィンドウの右端の[X]で終了します。
注意事項
これらのサンプルをベースにして,プログラムを作る場合,一度,自分の作業領域内に別名でコピーしてから作業を開始してください。
これらのサンプルプログラムは,ライブラリ中にread onlyファイルとして登録されているので,書き込みができません。
Emuduino入門
初めてEmuduinoを使用する方のために,そのベースとなるProcessingの操作方法と最も基本的なEmuduinoの起動方法までを以下にまとめました。
チュートリアル
Emuduinoのプログラムに慣れていただく為に,チュートリアルを用意しました。
以下のチュートリアルをお読みください。
サンプルリスト
以下のサンプルリストをお読みください。
EmuduinoDesignerの使い方
EmuduinoDesignerは,emuduinoで使用するGUIパーツを選択して,パラメータと配置の設定を行い,ベースとなるProcessingのソースコードを生成するツールです。
詳しい使い方は,以下の解説をお読みください。
デバイスと関数のリファレンス
以下のリファレンスをお読みください。
応用編
サンプルプログラムを参考にして,setup(); と loop(); 内に必要な機能を実装していきます。
emuduino上でひと通りの機能確認ができたら,ArduinoのIDEに,それらの内容をコピーしてください。
これをコンパイルして,Arduinoの実機にプログラムを転送すればそのまま実行出来るはずです。
練習問題
チュートリアルやサンプルを試して、Emuduinoの使い方を理解した方は、実力を試すために、以下の練習問題にチャレンジしてみてください。
FAQ(frequently-asked question)
Q.何と読むのですか?
A.emuduinoは,__“えみゅでゅいーの”__ と読みます。
Emulator と Arduinoを合成して作った単語です。
Emu(lator) + (Ar)duino
Q.何故作ったのですか?
A.ArduinoやProcessingは,プログラムをしていて非常に楽しい環境です。その楽しさをたくさんの人に知ってもらいたいと思っていました。
でも、Arduinoをプログラムするには、機材やパーツを揃えたり、組み替えたりするのがチョット面倒です。
そこで、Processingの上で、いつでもどこでもチョイチョイとお気軽にarduinoのプログラムができたらいいなと思って作りました。
たくさんの人に使ってもらえれば嬉しいです。
「怠惰はプログラマの美徳」
Q.引っかかる人がいそうなネタですね。
A.そうです。前の質問では、世間受けする回答にしてみましたが、本当はネタが出発点です。
開発のスタートは,2012年の夏季休暇中にふとした思いつきで,ProcessingからJavaを呼び出すプログラムのテストを行いました。
この時は、digitalRead/digitalWriteのような動きをするところまでを作り上げたのですが,特に使い道や応用方法を思いつかなかったので,そのまま放置していました。
その後,年末のあるIT系勉強会後の懇親会で発表するネタが必要になりました。
そこで,前述のソースコードを引っ張りだして,Arduinoの画像上でLEDが点滅する「Lチカ」のデモをProcessingとJavaで作りました。これを懇親会で披露したところ、意外に良い感じでウケたので、調子にのってパーツや機能を追加して行きました。
気がついたら、__ご覧の有様__です。
Q.ボタンやLEDのサイズが大きすぎると思うんですが?
理由は2つあります。
1つ目は、これからは、タッチパネル式のコンピュータ環境が増えると考え、タッチパネルで扱いやすいGUIのサイズを想定して、全体をデザインしました。
2つ目は、出来上がった作品をプロジェクターを使ってデモをすることを想定し、見やすいように大きめのデザインにしました。
Q.再生される音質が本物と違うのですが?
A.arduinoで使われる一般的な圧電ブザーで再生されるのは,矩形波のチープな音質です。
しかし,emuduinoでは,44100Hzのsin波で,ハイクオリティな音を再生しています。
ただし,全てソフトウェアでOn,Offを制御しており,タイミングが保証されないので音の切れが悪い場合があります。
Q.analogWrite()がまだないみたいですが,,,,
A.analogWrite()については,開発の初期段階から実装していました。
ただ,出力すべきデバイスが無かったので,隠し機能にしていました。
そこで,Ver0.81より,analogWrite()の出力をSliderに反映させるように改良しました。
Q.xxxxの機能が欲しいのですが,,,,
A.基本的に,emuduinoは俺俺アプリ(俺様の俺様による俺様のためのアプリ)です。
気が向いたら,実装するかもしれません。(過大な仕様の要求はお断りします。)
Q.ソースコードを読むと,汚くてコメントも書かれていません。なんとかなりませんか?
A.なりません。
「ならぬものはならぬ。」ということで、足りない部分は、皆様の想像力で補ってください。
Q.どこまでエミュレートしてるのですか。使えるハードに制限があるからラフな実装なのでは?
A.お察しの通りです。
ソースコードを見ていただければわかると思いますが、中身は、Processing をJavaで少しだけ拡張しただけのチープな内容です。
arduinoらしく動けばいい。arduino風に見えればいい。というなんちゃって実装を開発ポリシーにしています。
また,省力化のために、極力安易な設計で、安直なコーディングを行い,お手軽な実装を心掛けました。
さらに,分相応を考えて,自分の持つ技術の範囲でプログラムしています。
これ以上の精度や高度な機能が必要な場合は,Arduinoを購入してください。
ToDo
- サンプルプログラムを増やす。
- EmuduinoDesignerに,生成したソースコードをファイルに保存する機能を追加する。
-
出来上がったソースを独立したjavaアプリケーションとして実行できるようにする。Processingのメニューバーの「File - Export Application」あるいは、 「Ctrl+E」を実行すれば、独立したJavaアプリを生成できる。
- ArduBlock のように,EmuduinoDesignerをProcessingのプラグインとして呼び出せるように改変する。
javaファイルから生成されたクラスをjarにまとめ,ライブラリとして使えるようにする。利用するGUIパーツやそのPINの割当てなどをconfigファイル等で設定できるようにする。Emuduino DesignerData reproducerの実装
改変履歴
-
2012/08/12 ver. 0.01
お盆の休暇中に、以前から思い抱いていたアイデアを形にすべくプログラムを開始。
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2012/12/15 ver. 0.4?
忘年会議2012にて、初お披露目。機能を紹介する。
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2012/12/24 ver. 0.49
基本的な機能が完成したので、公開を開始。
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2013/01/07 ver. 0.72
javaのクラスをライブラリ化し、サンプルプログラムと一緒にprocessingに登録できるようにした。
バージョン番号は、resources/Arduino.propertiesの中で管理する。 -
2013/02/22 ver. 0.81
GUIパーツのData reproducer(アナログデータの再生ツール)を追加する。
GUIパーツのLCDを追加する。
Slider に出力機能を追加する。 -
2013/02/23 ver. 0.82
EmuduinoDesignerの文字化けを修正
-
2013/02/24 ver. 0.84
GUIパーツの7SegLEDの機能を拡張し、縦と横の配列で配置可能にする。
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2013/02/28 ver. 0.87
GUIパーツの7SegLEDをベースにして、新たに作成したニキシー管を追加する。
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2013/03/01 ver. 0.90
ドキュメント類を整理する。 EmuduinoDesignerを正式公開する。
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2013/03/16 ver. 0.94
LEDの発光色を追加し,赤,橙,黄,緑,シアン,青,マゼンタ,ピンク,白の9色にする。
液晶表示装置を追加。8文字x 2行,16文字x 2行,16文字x 8行,20文字x 4行
サンプルを追加 -
2013/03/24 ver. 0.96
Arduinoにlilypadとpro miniの2種類を追加。
水平sliderを追加。
サンプルを追加。 -
2013/04/10 ver. 0.97
チュートリアルを追加。
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2013/04/14 ver. 0.98
EmuduinoDesignerにソースコードのコピーボタンを追加。
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2013/05/11 ver. 1.00
LedMatrixを追加。
-
2013/07/07 ver. 2.00
いくつかのバグフィックスを施す。
-
2013/08/10 ver. 3.00
Led Cubeを追加。それに伴い関連サンプルを追加
-
2014/07/06 ver. 5.00
いくつかのバグフィックスを施す。
Arduino の画像をDiecimilaから、Unoにアップグレード。